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岡山大学学術研究院医歯薬学域 放射線医学/岡山大学 放射線科

画像診断 Diagnostic Imaging

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現代の医療現場では、体の内部にある病気を治療前に正確に評価することはますます重要となっています。体に大きな侵襲(しんしゅう)を与えることなく、病変の質的診断(病気の種類の診断)や進展度評価(ひろがり判定)・重症度・治療効果判定・予後予測など多岐にわたる項目を、イメージングを用いて診断する手法を画像診断と呼びます。われわれ放射線診断医は画像診断のスペシャリストであり、ほぼ全ての診療科とともにチーム医療を行っています。画像診断にはいくつかのモダリティ(検査機器)がありますが、放射線診断医が中心となって行う画像診断であるCT(コンピュータ断層画像)、MRI(核磁気共鳴画像)、核医学について簡単にご説明します。

CTは画像診断のエースといってよい存在です。近年のCT機器・画像処理技術の進歩は目覚ましく、多数の検出器を搭載したマルチスライスCTが標準となっています。岡山大学病院では320列をはじめとする5台のマルチスライスCTが稼働しており、2017年5月からは、世界に先駆けて国内導入された超高精細CT装置「Aquilion Precision」も稼働しています。これらのCT装置は従来よりも短時間で、より細かな画像撮影が可能な優れた画像診断装置です。これに加えて2022年からphoton-counting CTという、全く新しい技術が搭載されたCT装置「NAEOTOM Alpha」が西日本で初めて導入されました。従来CTと比較してより高画質かつ低被曝であり、さらにdual-energy撮影を追加の被曝なく常時行うことで腫瘍の成分分析などが可能となります。病気によってはヨード造影剤を静脈から注射しながらCTを撮影することがありますが、以前はカテーテル検査でなければわからなかった心臓の冠動脈や脳血管の評価もCT撮影にて行えるようになりました。コンピュータの進歩によって、視覚的に理解が容易となる三次元画像も各診療科に提供しており、外科手術のナビゲーション用として不可欠となってきています。

MRIは磁気を用いて体内の状態を画像化する装置であり、CTとはまた異なった情報を与えてくれます。当院では現在5台のMRI装置が稼働しており、うち3台は3テスラの高磁場装置です。MRI画像は組織分解能が高いことが特徴のひとつであり、腫瘍など病変部の性状を詳しく分析することが可能です。また、中枢神経領域では脳梗塞の早期診断に欠かせない診断装置であり、造影剤を用いることなく脳血管を評価することもできます。CTに比べて検査時間が長くまた検査中に大きな音がすることが欠点ですが、CTのようにX線を使いませんので放射線被ばくはありません。

核医学は放射性同位元素という放射線を出す特殊な薬剤を用いて(主に静脈注射)、各臓器の機能や病変の活動性を評価する画像診断です。脳血流・心筋血流・肺血流・肝予備能・腎機能・骨代謝・腫瘍代謝など、それぞれの検査に応じた放射性医薬品を用いて、画像化・評価することができます。CTほど一般的な画像検査ではありませんが、CTやMRIではわからない臓器機能・腫瘍活性を評価ができることが大きな特徴です。画像診断の切り札といってもよい存在です。当院ではSPECT装置2台の他に、SPECT/CT装置が2台稼働しています。病気の種類に応じて空間分解能に劣っているといわれる核医学画像にCT画像を組み合わせたSPECT/CTを用いて、核医学検査の診断能を向上させることができます。当院では乳がんや皮膚悪性黒色腫に対するセンチネルリンパ節(がんが最初に転移するリンパ節)の検索も、SPECT/CTを用いて行っています。
また、核医学検査のひとつであるPET(ポジトロン断層画像)は、近隣の岡山画像診断センターにて行っています。中でもFDG-PETは腫瘍のブドウ糖代謝を画像化できる手法であり、がん細胞の糖代謝が盛んであることを利用して、がんの早期発見やがんの広がり/転移の評価を行うことができます。当院と岡山画像診断センターは光ケーブル回線で結ばれており、FDG-PETを用いた最先端のがん診療が可能となっています。

胸部

【間質性肺炎 超高精細CT】
肺良性腫瘍や肺炎、びまん性肺疾患、肺がん、縦隔腫瘍などの画像診断を行っています。
肺野病変においては、最新の超高精細CTを用いることで、より詳細な画像評価を行うことが可能となっています。

骨軟部

【T2map】
骨軟部腫瘍や脊椎疾患、スポーツ外傷、関節リウマチ、関節疾患など多種多様な疾患に対し、単純写真やCT、MRIを用いて画像診断を行っています。
また術前ナビゲーション画像作成など治療を補助する役割も担っています。

泌尿器

【非造影MRA(腎動脈)】
腎臓や膀胱、前立腺などの腫瘍や尿路結石などの画像診断を行っています。
また造影剤を用いない腎動脈や尿路の評価なども行っています。

小児

【大動脈弓離断症 3D-CT】
肺炎や炎症性腸疾患、腸閉塞、外傷、先天性心疾患、小児悪性腫瘍などの画像診断を行っています。
最新のCT機器での撮影では医療被ばくの低減も心がけています。

核医学

【センチネルリンパ節シンチグラフィ】
全身の各臓器やさまざまな腫瘍性疾患を対象に脳血流シンチグラフィや心筋血流シンチグラフィ、炎症シンチグラフィ、腫瘍シンチグラフィ、センチネルリンパ節シンチグラフィなどを行っています。
疾患に応じてSPECT/CT装置を用いて撮影しています。

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